永禮賢は、1999 年のデビュー以来、一貫して自らの日常に存在する事物を主題として写真を発表し続けてきました。ごく私的な閉ざされた空間、そこに射し込む柔らかな光、どことも知れない都市や自然の光景、そこに暮らす人々と生物、その営みや微睡まどろみ。彼は、そうしたあらゆる些細な存在を卓越した技術で画面に落とし込んでいくことによって、従来の写真では表現できない、我々がこれまで観ることのなかったこの世界の姿を、眼前に差し出してくれます。
こうした彼の作品を、国内外問わず戦後の写真界において綿々と紡がれてきた「私写真」と呼ばれる潮流へと連ならせることもできるでしょう。しかし、感情の過度な発露や主観的な被写体への傾注が顕著な、ドキュメントを軸に据えたこれまでの「私写真」に比べ、彼の写真は、自身が愛おしむあらゆる生きるもの、もしくは生きているという行為そのものが漠とした空間の中に静謐さとともに捉えられており、私的な物語は湛えたままに、その先にあるより根源的な存在を我々に想起させます。
デジタル・カメラで捉えられたこれらの写真は、現代において小さな物語の断片と化していった表現を、まるで短い言葉が連なって一つのストーリーが紡がれるかのように、ふたたび「生」を巡る大きな 芸術という名の 総体へと回帰させるための契機を与えてくれているのではないでしょうか。
2006年に発表され、木村伊兵衛賞候補にもなった話題の写真集『birds of silence』から四年。この春に新作写真集の発表を控えた永禮賢の満を持しての写真展を、この機会にぜひご高覧下さい。
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[展覧会概要]
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mind encode 永禮 賢
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□会期:2010年3月20日(土)~4月4日(日)
□時間:12:00~20:00
□場所:SLANT 石川県金沢市広坂1-2-322F
□tel076-225-7746 入場料:無料
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[オープニングイベント]
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対談:永禮 賢×鴻池 朋子(入場無料)
2010年3月20日(土)19:00~
東京と鹿児島を巡回した個展「インタートラベラー」が大好評だったアーティストの鴻池朋子さんをお招きし、永禮氏も撮影に携わった作品集『インタートラベラー 死者と遊ぶ人』を軸に、写真についてお話しして頂きます。
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